【最新公募対応】事業再構築補助金の交付申請の手順と必要書類とは?

コラム

新分野への展開、業態や業種の転換など、中小企業や個人事業主の再起を支援する「事業再構築補助金」。この補助金の採択が決まったら、次に進むべきステップは「交付申請」です。採択された事業が補助金を実際に受け取るためには、この交付申請が不可欠となります。本記事では、この交付申請について解説します。

本記事は、事業再構築補助金の公式サイトが公開している、事業再構築補助金第6回以降補助金交付候補者の採択事業者向け交付申請にあたってご注意いただくことを元に作成しています。重ねてご確認ください。

事業再構築補助金の交付申請とは:基本的な概念の解説

事業再構築補助金の交付申請とは何か

事業再構築補助金の交付申請は、採択された事業が補助金を受け取るために必要な手続きです。一度採択が決定されたとしても、その時点では補助金の交付は確定していません。採択後に事業者が交付申請を行い、事務局が補助事業経費等の内容を対象経費として適切なものであるかを精査し、補助金の交付額を決定します。

交付申請の目的とその重要性

交付申請は、採択された事業計画や資金について改めて評価し、補助金の交付を確定するための重要な手続きです。適切に交付申請を行わないと、補助金の交付が遅れたり、補助金額が減額につながったりする可能性があります。

申請期限についての注意点

補助金の交付申請には明確な期限が設けられていないものの、採択が決定した後は早急に手続きを進めることが望ましいです。なぜなら、交付申請の遅延は事業実施期間の短縮を招く可能性があるからです。

事業再構築補助金は事業の性質により複数の「枠」が設けられており、それぞれに特定の事業実施期間が設定されています。例えば、第9回公募の「通常枠」では、交付決定日から12ヶ月以内、また「グローバルV時回復枠」では交付決定日から14ヶ月以内と規定されています。

しかしながら、事業実施期間の終了日もまた決まっており、「通常枠」の場合、それは「採択発表日から14ヶ月後の日」までとされています。このため、採択発表から2ヶ月以上経ってから交付申請を行うと、事業実施期間が相応に圧縮されることになります。

したがって、適切な事業期間を確保するためにも、採択が決定したら速やかに交付申請の準備を始め、申請を進めることが重要となります。

交付申請の必要書類

事業再構築補助金の交付申請には、以下の書類が必要です。

  1. 交付申請書別紙1【全ての補助事業者】
  2. 見積書、見積依頼書、(必要に応じて)業者選定理由書 【全ての補助事業者】
  3. 建物費、機械装置・システム構築費の追加書類 【全ての補助事業者】
  4. 取得財産に係る誓約書【全ての補助事業者】
  5. 履歴事項全部証明書【法人の場合】 or 確定申告書(第一表)【個人事業主の場合】
  6. 決算書【法人の場合】 or 青色申告書/白色申告書【個人事業主の場合】
  7. 交付申請書別紙2【該当事業者のみ】
  8. 事前着手届出受理のお知らせ【該当事業者のみ】

それぞれの書類について詳しく解説していきます。自社で必要な項目をご確認ください。

1.交付申請書別紙1【全ての補助事業者】

交付申請に必要な「交付申請書別紙1」は、全ての申請者が作成する必要があります。この文書は電子申請システムからダウンロードすることができます。以下に、その作成と提出の手順を説明します。

  1. 交付申請書別紙1のダウンロード
    • 電子申請システムにログインします。
    • 【交付申請書別紙1ファイル】ボタンをクリックすると、【交付申請に係る同意事項】が表示されます。
    • 【交付申請に係る同意事項】を確認し、各項目にチェックを入れ、「同意の上、交付申請します。」ボタンを押下します。これにより、交付申請書別紙1がダウンロードできます。
  2. 交付申請書別紙1の提出
    • ダウンロードしたファイルのファイル名を変えずに、申請書と一緒に提出します。
      ファイル名の例: 交付申請書別紙1_R2○○○○○○○○○-○○○.xlsx (R2○○○○○○○○○-○○○(11桁-3桁)は、事業再構築補助金の申請受付番号となります)
    • 電子申請システムからダウンロードしたファイル以外を提出した場合、事務局から再申請が依頼されることがあります。
  3. 注意点
    • 直接採択通知を受けた事業者は、電子申請システムから「交付申請書別紙ファイル」をダウンロードします。ダウンロードの際には期限が設けられているため、早めに行うことが推奨されます。
    • 直接採択通知を受けていない事業者(採択通知を受けた代表申請事業者の連携先事業者)は、代表事業者から「Rから始まる受付番号」と交付申請書別紙1ファイルを受け取ります。

2.見積書、見積依頼書、(必要に応じて)業者選定理由書 【全ての補助事業者】

  • 見積書
    • 全ての補助対象経費の見積書の提出が必要です。以下の経費項目では注意が必要です。
      • 契約(発注)1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上の建物費や機械装置・システム構築費の場合
        • 2者以上の同一条件の見積書(相見積書)が必要
      • 中古品の場合
        • 製造年月日、性能が同程度の中古品の3者以上の見積書が必要
      • 専門家経費の場合
        • 公募要領記載の謝金単価に準じない場合は、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書の提出が必要
        • 専門家の旅費を計上する場合は行程表の詳細(スケジュール、移動方法、交通費等がわかるもの)の提出が必要
      • 諸経費などと記載がある場合
        • 見積書内に諸経費、現場管理費や雑費等の記載がある場合は、諸経費の内訳(金額含む)の記載が必要
      • 補助対象外の経費が含まれている場合
        • どの経費が補助対象外であるか見積書内に明記(手書きでも可)が必要
  • 見積依頼書
    • 第3回公募以降の補助事業者は、すべての見積書に対応する見積依頼書の提出が必要です。
  • (必要に応じて)業者選定理由書
    • 上記の2者以上の同一条件の見積書(相見積書)が必要な場合に例外が存在します。
    • 合理的な理由により相見積書が取得できない場合は、「業者選定理由書」を提出してください。「業者選定理由書」は、事業再構築補助金のポータルサイトの【採択事業者向け資料】ページの参考様式集からダウンロードし作成します。

3.建物費、機械装置・システム構築費の追加書類 【全ての補助事業者】

建物費や機械装置・システム構築費の計上がある場合、補助事業者は追加の書類を提出する必要があります。以下、それぞれのケースで必要となる書類を解説します。

建物費を計上する場合

  • 設計図書/見取図
    見積書を取得する際に作成した設計図書や見積依頼先から提出された設計図書が必要です。建物を改修する場合は、見取図の提出でも可となっています。
  • 補助対象経費により取得する建物に係る宣誓・同意書(参考様式20-2)
    補助事業者は、電子申請システムよりダウンロードされた交付申請書別紙1に含まれるこの様式に必要な情報を入力し、提出することが求められます。

機械装置・システム構築費を計上する場合

  • 価格の妥当性を証明するパンフレット
    見積書と一緒に、価格の妥当性を証明するパンフレット等の提出が求められることがあります。
  • 換算レート表(公表仲値=TTM)
    機械装置を海外から購入する場合は、換算に用いたレート表(公表仲値=TTM)の提出が必要となります。この際、換算に使用したTTMは年月日と公表金融機関名を必ず明記することが求められます。

4.取得財産に係る誓約書【全ての補助事業者】

この誓約書のダウンロードは公式HPで行い、以下の通りです。

  1. 事業再構築補助金の公式HPにアクセスします。
  2. 「採択後の流れ・資料」タブをクリックします。
  3. 「補助事業の手引き>参考様式集 第〇回(以降)公募用(ZIP)」をダウンロードします。※自身の採択回を取得してください。
  4. フォルダ内にある「参考様式21 取得財産にかかる誓約書」を使用します。

次に、この「参考様式21取得財産に係る誓約書」への必要事項の記載について説明します。以下の要領で記載を行い、PDFファイルとして保存して完成します。記載事項は数点ありますが、特に難しい項目はありません。

5.履歴事項全部証明書【法人の場合】 or 確定申告書(第一表)【個人事業主の場合】

【法人の場合】では、履歴事項全部証明書の提出が必要となります。この書類の概要は以下の通りです。

  • 法務局に登録されている会社の登記情報を証明する書類。
  • 会社名(商号)、本店所在地、設立年月日、目的、資本金、役員などについて、過去の変更履歴も含めて記載されています。
  • 法務局の窓口または郵送で取得可能。

提出の際には以下の点に注意してください。

  • 交付申請書提出日より過去3か月以内に発行されたものである。
  • すべてのページの添付が必要である。

一方、【個人事業主の場合】では、確定申告書(第一表)の提出が求められます。提出の際には以下の点に注意してください。

  • 直近2期分の確定申告書が必要。
  • ただし、応募申請時に直近のものを提出済みの場合は不要。

6.決算書【法人の場合】 or 青色申告書/白色申告書【個人事業主の場合】

【法人の場合】では、直近の決算書の提出が必要です。

この決算書には事業者名が記載されている表紙が必要です。決算書は応募申請時に提出済みのものであれば、交付申請時の提出は不要です。しかし、応募時に表紙が無かった場合は、表紙がついている決算書を再度提出する必要があります。

【個人事業主の場合】では、青色申告書もしくは白色申告書の提出が必要です。

・青色申告書:損益計算書(提出用4ページ全て)の提出が必要となります。

・白色申告書:収支内訳書(提出用2ページ全て)の提出が必要となります。

これらの書類も、応募申請時に提出済みの場合は再提出の必要はありません。

7.交付申請書別紙2【該当事業者のみ】

技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関
連経費を計上する場合に必要です。

8.事前着手届出受理のお知らせ【該当事業者のみ】

事業の開始は原則として交付決定日以降になりますが、事務局から承認を受けた場合、交付日より前に事業を開始することが可能になります。このことを「事前着手」と呼びます。

事前着手の承認を受けている事業者は、通知日が確認できるJグランツでの通知文書の提出が必要です。

事前着手制度についての詳細な内容は、こちらの記事:【第10回公募以降】事業再構築補助金の事前着手申請を徹底解説をご確認ください。

交付申請時の注意点

各種書類作成時の注意点

事業再構築補助金の交付申請を行う際には、一見簡単そうに見える各種書類の準備でも、思わぬミスがあると申請承認までの時間が大幅に遅れることがあります。

以下は、具体的な書類準備時の注意点として、過去に不備が見つかり修正が依頼された事例をいくつか紹介します。

  • FCの新規店舗立ち上げ案件において、一つの契約先(発注先)あたりの見積額の合計が50万円以上(税抜き)の建物費を計上しているが、相見積書の提出がされていない。
    • 対応策:FC本部から業者指定がされていたため事業者には業者選定の自由度はなかったため、相見積書の提出ではなく、業者選定理由書並びに証憑としてFC契約書(施工業者を名称まで指定するもの)を提出した。
  • 建物費の見積書と相見積書の工事名称が一致していない。
    • 対応策:見積書では内装工事費、相見積書では施工費と記載がされていたため、内装工事費で表記を統一した。
  • 建物費の見積書と相見積書で項目内容が一致していない。大・中・小項目が一致していることが必要である。
    • 対応策:見積書では大項目に改修工事、中項目に仮設工事・解体工事と記載されているが、相見積書では大項目に改修工事、中項目に解体工事となっていたため、相見積書を作成した業者に仮設工事を含んだ内容で修正版を作成することを依頼した。
  • 見積書に諸経費と記載があり、具体的な内訳が記載されていない。
    • 対応策:見積書を作成した業者に、諸経費の具体的な内訳を聞き、その内容を見積書に加筆した。
  • 見積書と交付申請書別紙1の経費明細表の項目が一致していない。
    • 対応策:見積書では外装工事、経費明細表では工事と記載していたため、外装工事に表記を統一した。
  • 交付申請書別紙1の4.事業概要(5)「本事業で取得する主な資産」において、「改修工事一式」と記載している。
    • 対応策:資産としての表記のため、改修工事の結果得られる店舗名を記載して提出した。

これらの事例は一部ですが、基本的に書類間で詳細な記載の統一が求められることが典型的なミスでと言えるでしょう。

申請方法と再申請の場合の注意点

事業再構築補助金の交付申請を行う際の手順は、

  1. “Jグランツ”のページで必要項目(事業者の基本情報など)を入力していきます。
  2. 交付申請書別紙1のエクセルファイルとその他の書類を圧縮したzipファイルをアップロードします。
  3. 申請ボタンを押して完了です。

一度に申請が通ることはほぼなく、多くて7-8回程度事務局と修正のやりとりを行った上で、交付決定に至ります。そのため、交付申請から交付決定まで1~3ヶ月くらいの時間がかかることを覚悟しておきましょう。

申請に不備があった場合、事務局から差し戻しがあります。再申請する際の手順は以下の通りです。この際、新規で申請を行わないように注意してください。(審査にさらに時間を要することになります。)

  1. 必ずマイページから申請を行います。
  2. 申請履歴から「補助事業名」を選択します。なお、「補助金名」をクリックして申請すると新規申請扱いとなり、過去のものと複数申請となってしまうので注意が必要です。
  3. 作成済みの申請から「差戻し対応中」の申請を選択し、不備の修正を行います。「差戻し申請」は必ず「作成済みの申請」から処理を行うようにしましょう。
  4. 交付申請書別紙1とその他の書類の圧縮ファイルは、前回申請のものを削除し、新規の修正版をアップロードし直します。
  5. 内容を修正したら、申請ボタンを押して完了です。

まとめ

事業再構築補助金の交付申請のための必要な書類の準備から、各種書類の作成時の注意点、そして申請及び再申請の方法まで、本記事を通じて具体的な手順と注意点を解説しました。これらを遵守することで、交付申請はスムーズに進行し、あなたの事業を支える資金を得る機会を増やすことができます。

しかし、申請が通るまでのプロセスは必ずしも一つの絶対的な答えがあるわけではありません。事務局とのやりとりや修正作業を繰り返しながら、適切な形での交付を目指すことが重要です。

本記事が、あなたの事業再構築補助金の交付申請の参考になることを願っています。申請プロセスは複雑で時間を要するかもしれませんが、適切な準備と注意深い手続きによって、その結果はあなたの事業の発展に大いに寄与することでしょう。

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